10年前
- Kosaku Toyoshima
- 2019年10月7日
- 読了時間: 5分
更新日:2019年10月17日
10年前、アタクシ25歳ですが、「25歳は四半世紀」てのも10年一昔、雇われの身の生活も10年目に入り、最近は「動画制作」なんて役回りも出てきましたが、写真はからきしダメでも、編集作業は楽しいですね。
それで、動画制作の参考にと、過去のyoutubeのリストを漁ってたら、ミシェル・ゴンドリーやクリス・カニンガムのPVを5年ぶり?くらいに見返して「ああやっぱCome into my worldのカイリー・ミノーグ可愛いわー」となってたわけですが、
あまり映像クリエイター関係に馴染みのなかったアタクシに、当時このあたりの映像リテラシーを吹き込んでくれたのは、ビデオグラファーの大野要介さんという方なのですが、その方がミュージシャン/アーティストを自宅兼スタジオに呼んで、ストリーミング番組を立ち上げる、ってんで音響系スタッフとして少しお手伝いしてたのが10年くらい前なんですよね。
当時荻窪に住んでて、荻窪に住み始める前から大野さんとは知り合いでしたが、自宅が徒歩圏内ってことで、昼間は会社の仕事、夜はストリーミングスタジオで音響スタッフ、なんて生活を送っていました。
ちなみに番組の名前は、今はもうサイト無くなっちゃってるみたいですが、Stopmotion.jpで、名前の由来は当時まだストリーミング配信の環境が安定してないタイミングもあって、映像がコマ送りっぽくなるのをパロっていたという笑。
それで、懐かしくなって当時の写真とか色々見返してたら、「うわ、初インドこのときだ」とか「このときのライブの演奏ヘッタクソだな笑」「プレイボーイ、ほとんど読んだことないけど廃刊なった」とか色々フラッシュバックしてきて、まあ思い出にすがりつくのはダメですが、少し浸るくらいであれば多少の気付けにはなるので、ついでに当時書いてた殴り書きのテキストを読み返したら、
「バイアグラとかけてディズニーランドと解く、そのこころは?どちらもたった3分のるのに1時間待たされる、、、こんなパーティージョーク傑作選がプレイボーイに載る時点でPLAYBOY的ダンディズムに終焉は見えていた」
「メモ:愛することと恋することの違い、映画 "Let's get lost"より」
「メモ:カタツムリの恋愛観について」
とか、ほぼ記憶の彼方に消えてたものに再会するという、10年という月日の隔絶と薄っぺらさを痛感しておる次第ですが笑、もし10年前を振り返るなら、10刻みじゃなくて下一桁が5になる歳の方が良い気がしますね。30歳のときに20歳を振り返っても多分何も出てこなかったと思います笑。
あ、読み返したテキストの一つに
「白石一文の『一瞬の光』を10年ぶりに読み返したから、10年後にまた読む」
と書いてあったんで、10年後の手紙、みたいな感じですかね笑、読み直してみたんですよ。
読み直すの3~4回目ですけど、話のキーポイントほとんど忘れてるという笑。
もう20年も前の小説なんで、ネタバレしても差し支え無い気もしますが、主人公は38歳の一流企業勤務で、東大卒でエリート街道まっしぐら、社長スタッフを経て史上最年少で人事課長に抜擢、女にも不自由せず仕事一筋で頭も切れる、というステレオタイプなエリートサラリーマンで、、、
このプロファイル読んだ時点でムカムカして来た方もいると思いますが笑、
この主人公には社長の姪の、これまた完全無欠のエリート美人の彼女がいて、仕事に打ち込む日々が続く中、虐待経験のある19歳の幸薄い女子と出会い、、、
という筋書きで、
「サラリーマンの社内政治」
「階級差恋愛」
という、よくあるテーマのハイブリッドなんですけど、2~30年前の時代背景を反映しているので、
「人事が人事権なんて持たねーよ笑」
とか、小説全体を通じて根底にある男根主義、みたいな、今読めばツッコミどころはありますが、20年前に読んだときに比べて、この本と自分の何が1番寄って来たか?って言うと、自分と主人公の年齢差ですね笑
今年であたくし、35歳ですが、主人公との共通点はまあ、ジャズ好きなところくらい?(ジャズ好きな描写、一瞬しか出てきませんけど)で、官民を暗躍して「ザ・経営企画スタッフ」みたいな仕事を作り上げていく主人公に対し、最近自分は昼間、動画作るか面白イベント企画作ってますし笑、
主人公に共感できないのは、20年前に読んだときも、10年前に読んだときも同じですが、(唯一共感できるのは、中盤、虫の居所が悪くなって、不良少年に通り魔的に暴行を加えるシーン)
年齢差は縮まっても、頭のキレというか、思考力・判断力についても、10年前は「ふーん、勉強して、仕事の経験詰めばこういう仕事のプロっぽい言い方できるようになんのかしら」と思って10年後(つまり現在)ダメだ笑、まだまだガキだった、という笑。
まあ、ストーリーが進行するにつれ、理知的で仕事人の矜持を持つ主人公が、愛憎に溺れ激情型になっていくのも見どころですが、結末の感想はやっぱり、(20年前と変わらず)これ以上のハッピーエンドを私は知らないです。
しかしまあ、20年前の時代背景含みのストーリーに「感動した」かと言うと、「こんな男根主義のストーリーを読み返して思い出にふける&結末をハッピーエンドとか言っちゃうなんて、、、」と感性や人格すら否定されそうな昨今ですけどね笑、著者、直木賞作家でまだ存命ですけど、「死後に評価されるエンタメ」なんてのはもうレガシーで「リリース後、すぐにバズってヒットして、20年後に社会通念が変わってバッシングされて、そんでもう50年後に再評価される」みたいな流れかもしれないですけどね笑。
先日バスキア見に行って、10年単位で再評価が施されていることを知ったんですが、それでも評価は基本ポジティブ方向のアップデートなんで、
果たして、社会通念でDisられたものが後に再評価され、、、なんてのを同一世代で見ることはできるのか、、なんて考えますが、管理主義のリジッドさも、ある臨界点を超えるとパージされるように見えて、結局は様式を変えてリジッドさを保ち続ける、と思うんですよ。この先も男根主義は、社会的には蔑視され続けるでしょうし、多様性の名の下に受容性の向上は標榜され続ける、と思います。
ただ、個々の人間のキャパはそう簡単に拡張しないんで、吐きだめは存在し続けるんでしょうけど、
そうですなぁ、例えば拷問は残酷だから良くないよね、だから無くそうね、なんつっても、この先も新たな拷問の手法は開発され続けるでしょうし、
人に優しく、と言っても新たな責め苦は考案され続けますし、
これはペシミズムでは無く、人の想像力に対するオプティミズムですが、自分の救済手段も同時に創造力で補完していく、しかないと思いますけどね。
ではまた!
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