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ジャズやるには、英語の勉強が必要?

  • 執筆者の写真: Kosaku Toyoshima
    Kosaku Toyoshima
  • 2018年7月1日
  • 読了時間: 4分

更新日:2019年11月4日

フリージャズのアルバムかと思ったら、古ぃジャズだった、ジャズ・アーティストの豊島考作です。

日々、ジャズ演奏の鍛錬に勤しんでおられる方の中には、

「ジャズやるんだったら、英語喋れるようになっといた方が良いよ」

と言われたことがある人もいらっしゃるかもしれません。


(オペラやる人の「イタリア語マストね」とはちょっとまた違った話)


、、、個人的な話ですいませんが、身近なトランペッターを見ても、上手い人には英語ネイティブの人多いんですよね。


最近、南国で精力的に活動している谷口正也くんや、後輩のヤスはバイリンガルですし、有名バンド等、各方面でゴリゴリ吹いてらっしゃる石井真さんはVizzutiの通訳など英語に堪能、オーデルマットのドイツ語朗読などなど、こうなると自分はもうダジャレで対抗するしかないですね。

話戻しますと、特に管楽器奏者の方の方が言われることが多いのかもしれませんが、管楽器の場合、息の使い方と下の動き、それから頭の中で鳴っている音のイマジネーションが出音にも大きく影響します。


ですので、あるメロディ・ラインをソルフェージュするときに、そのシラブル(音節)も影響しうる、というのは至極自然な感覚と思います。

まあ、「ソルフェージュ」という観点ではタイコだろうと、弦だろうと、歌だろうと、はたまた打ち込みだろうと、何かしら頭の中で鳴らしているときのシラブルはありますので、楽器にかかわらず重要な要素である、とも言えると思いますが、

「やはりジャズをやるには、ジャズの本場アメリカの母語を体得してこそ、そのボキャブラリーとアーティキュレーションを実現できるのだ!」

と言うことをここでは言いたいわけではありません。(日本語しか喋れなくとも、驚くべき演奏能力を持った方はごまんといらっしゃいますし)

*後これ言うなら、ジャズ発祥の地はニュー・オーリンズつまり新オルレアンは元フランスの植民地であり、その影響について解きほぐしていみると色々発見があると思いますが(ちなみにジャズの生い立ちについては油井正一氏の「生きているジャズ史」という名著がありますのでそちらをご参照)


ree

ただ、日本語と、例えば欧州言語は言語の構造、特に子音が全く異なりますので、 それらを(感覚だけでも)体に染み込ませるだけでも、結構出音が違ってくる所あるよな~ という実感はあります。

たとえば、あるフレーズをソルフェージュするとき、

「パーパッパッパパラパ、パラパパパラパパパルパ」 (白状すると、自分も始めたころはこんな歌でしたけどね)

と歌うのではなく、

「バッドゥビバドゥディラバリヴダバルバー~スァバルゥリバドゥビヤバ」

みたいな方向性を目指す、ということです。

外国語の子音、とか言っときながら、カタカナで表記するところ、既に多大なる矛盾を孕んでおりますが笑、、なんとなく伝わりましたでしょうか。

なんでこんなことしなきゃいけないの?

という話ですが、基本的にあるフレーズを再現するとき、その息のスピード感が重要な要素となりますので、日本語のように「母音」に重きを置く音韻の体系ですと、

ドンドンドン あそーれ ドドンドドン (祭囃子風)

この場合の、母音と母音の「間」、例えが難しいんですが、かなり宙に浮いてます。


宙に浮いてるってのは、言って見れば無重力状態なわけで、(これはこれで快楽を伴います。盆踊りの和太鼓のビートのみならず、EDMのキックが乱交を喚起する理由はこれです)こと、演奏のスピード感が求められるジャズとなるとちょっと事情が異なってきます。


一方で、英語のシラブルを例にとると、最も音節の複雑な単語と言われている "Strength"の発音記号は


stréŋ(k)θ


ですが、これ、一音節なんです。


つまり、先ほどの祭囃子の「ドン」と比較すると、(簡略化のため、子音を「子」、母音を「母」と表記すると)


Don → 子

に対し、

stréŋ(k)θ → 子子子子子子


いや〜、子沢山ですね、ってのは冗談ですけど、子音がビートの空白を満たすと、必然的にそこにはスピード感が出てきます。


そのスピード感がソルフェージュのスピード感になりますし、それが出音のスピード感にもつながります。ですので、英語に限らず、いろんな言語のスピード感を体に染み込ませることで結構世界観が変わったりするのでは、と思います。


皆様も、ぜひ、いろんな言語のシラブルの楽しさを体感いただけたらと思います。


今の個人的な目標は、スワヒリ語を習得し、ノーブレスでバッハの無伴奏ソナタパルティータ第3番ホ長調をソルフェージュすることであります。


遍く人に、NUMBOUTDUB EXPERIENCEを、

豊島考作


※(念のためですが)これ、別に私がプレイヤーとして講釈を垂れているわけではなく、私の英検7級レベルの英語力からすると天と地ほどの能力の開きがある、(そして、演奏能力も同様に、嫉妬を覚えるほどに開きのある)冒頭に申し上げた方々の演奏能力や、言語能力を私なりに分析した結果の考察をご紹介しているだけです。ちなみに日本語しか喋れなくとも、尊敬に値するプレイヤーは日本にもごまんといますので、「そうかー、英語をまず喋れないと楽器はうまくならないんだ、、」と言って日頃の鍛錬を怠ることのなきよう。


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