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パーカーは1拍5連の冒頭無音を完璧にコントロールしていた

  • 執筆者の写真: Kosaku Toyoshima
    Kosaku Toyoshima
  • 2020年1月19日
  • 読了時間: 3分

一部で話題になっておりますこちらの本

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ビバップ期ミュージシャンの演奏の打点分析が中心なのですが、特にパーカーの「拍のアタマ、8分ウラ」の位置を数値化しているのが目を引きます。


一言でいうと、一拍の長さを「1.0」としたときに、

  • アタマは0.2の位置から始まる

  • 8分音符の長さは0.6

  • ウラの位置は0.8

というのが(膨大な)音源の解析からわかり、主張の軸となっていますが、これ、イーヴン5連符の打点とキレイに一致しているのですよね。


5連の打点は、1.0を5で割れば良いので、

0 / 0.2 / 0.4 / 0.6 / 0.8 / 1.0(2アタマ)

になりますが、これとパーカーの打点を照らし合わせると、パーカーのアタマは5連符の1つ目の音符を休んで、次の0.2から始まる、ということになります。


文字で書くとややこしいので、図解しますと

ree

と、いうことは、パーカーの譜面も1拍5連で(理論上)記譜できることになり、たとえば、

Billie’s Bounce -Take 1 Nov. 26, 1945

のソロ冒頭2小説を無理やり1拍5連で記譜すると、


ree

こうなります。


ただこれ、視認性も悪いし、人が演奏するにはほとんど使えないですよね。

(スティーヴ・ヴァイとか、ザッパバンドに居た人ならできるのかも笑)


ですが、人には無理でも機械(シーケンサー)にこの譜面を食わせれば、ジャズっぽいタイム感になるんじゃないの?ってことで、試しにLogicで打ち込んでみました。


5連符打ち込み(クリックで音源再生します)


まあ、それっぽい?これだけだと判別できないかもしれないので、


  1. パーカーのオリジナル

  2. イーブン8分で打ち込み

  3. オリジナルとイーブン8分を同時に聴く

  4. 3連で打ち込み

  5. オリジナルと3連を同時に聴く

  6. 16分で打ち込み

  7. オリジナルと16分を同時に聴く

  8. 5連で打ち込み

  9. オリジナルと5連を同時に聴く


の順番で演奏されている音源を作ってみました。


5連符と他比較(クリックで音源再生します)


この二小節だけ聞くと3連の方がハマってるようにも聴こえますが、単独で聞くと、端的に5連が一番ダサくないんですよね。


もっと長尺で打ち込めば、5連のシンクロ感がより出てくるのかもしれませんが、この、「1拍5連の冒頭無音」という規則性は、特に打ち込み方面の方々にインパクトのある情報じゃないでしょうか。というのも、今日び5連のクオンタイズなんぞ、クリック一つで出来ますからね。


フレーズをステップ入力で打ち込んで、5連のクオンタイズを押すだけで、フレーズがパーカーっぽくなる、、なんて世の中そんなに甘くはなく、時間軸上、記譜不可能なくらいにウネッてるフレーズはやはりアレですが、ざっくり全体像をパーカーっぽくできる意義はけっこうあるんじゃないかと思います。


と、DTMerの方々は、この音源どうやって作ってんの?って思うかもしれませんが、私Logic使いで、Logicって1拍5連のクオンタイザーが無いんですよ(知らないだけ?)

あるのは4拍5連か、2拍5連のクオンタイザーで、作る手順としては、


  • iReal Bookで、F Bluesをwavで書き出し

  • Logicのプロジェクトを、iReal Bookの倍のテンポに設定

  • フレーズを打ち込み、2拍5連のクオンタイズ


なんてことをやってます。iReal Bookで、MIDIで書き出しちゃうと、Logicのプロジェクトのテンポに同期しちゃうので。


とまあ、楽器演奏する身からすると、フィジカルにパーカーを再現できてこそ、なので結局は歌を合わせに行き、鍛錬を重ねる他無いのですが、「1拍5連の冒頭無音」を打ち込んだらやっぱり聴こえはそれっぽくなったので、耳に聴こえる全てのフレーズを5連で捉えながら日々の生活を送ろう、と思ったのでした。


ではまた!

 
 
 

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